吟詠のワンポイント
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【吟棒」ってなに?】

吟棒

吟棒とは3B体操で使う棒をイメージして作った健康体操用の棒のことです。
新聞に入ってくる広告を一枚づつ細い筒状に固く丸め、手で持ちやすい大きさに束ねます。
長さは40~55cm位で自由です。これを布の袋に入れて口を閉じれば出来上がりです。
会員有志のボランティアにより作られ、多くの希望者に無料で配布されています。
準備運動、ストレッチ時の前後屈、左右体側、左右捻り運動などの時に使う補助道具です。
教場での練習や各地での詩吟講習会の時に配布し、吟ずる前の準備運動の時に使用します。   
この吟棒を両手で持ち上下・左右に動かしながら、鼻呼吸で速く息を吸い込み、吸う時の2倍位の長さで
口から息を吐き丹田を意識して腹式呼吸の練習をします。
吟詠のウオーミングアップだけでなく、腰に当てウエストの引き締め、肩たたき、また痛いところの回復にと大いに吟棒を活用して頂けたらと思います。
詩吟講習会で吟棒と吟友が皆様をお待ちしています。

【素読】
諺に「読書百編意自ら通ず」とあるように、まず詩文解釈の前に繰返して何度も読んでみましょう。素読を繰り返して作者の詩心を理解し、自分の言葉とすることです。琵琶楽出身の吟詠家(笹川鎮江、鈴木吟亮など)の詩吟は発音明瞭・声量豊かで「読む」ではなく「語る」で聞き手の心に沁み透ります。
アクセントと鼻濁音
素読をするときから吟詠のときと同じように、教本とおりに読む。地方訛りにならないこと。
→ 日本語の発音【日本語のアクセント】および【鼻濁音】 を参照

吟詠の読み
普通の話し言葉と違って、吟詠では一音づつ明確に読む。
「岳精会」(がくせーかい ----> がくせいかい)   「先生」(せんせー ----> せんせい

二句三節
富士山  石川丈山
仙客 来遊 雲外巓   神竜 棲老 洞中淵
雪如紈素 煙如柄   白扇 倒懸 東海天
漢詩作詩上の規則に則って読む。二句(「起句・承句」と「転句・結句」)を三節に分けて読む。
仙客来り遊ぶ雲外の巓  神竜棲み老ゆ洞中の淵 (起句・承句)
雪は紈素の如く 煙は柄の如し  白扇 倒しまに懸る東海の天  (転句・結句)
」で区切る、これは「二句三息」の息継ぎヶ所で吟詠の「間合い」ともなる。

【詩文の理解】
→ 漢詩の基礎知識【漢詩鑑賞の仕方】 を参照

【発声】
母音と子音
吟詠では、常に声を前に出す(遠くに飛ばす)ことを心掛ける。
母音(a i u e o)の頭にHを付け(ha hi hu he ho)と発声する気持ちで
→ 日本語の発音【母音の発声】および【子音の発声】 を参照
二字目起し
二字目でこぶし(震わせて伸ばす)を付けると・格段に情がこもってうまく聞こえます
→ 詩吟の歴史(詩吟の流れ--->邦楽と言葉)を参照
呼吸法と支点
呼吸には「胸式呼吸」と「腹式呼吸」がある。眠っている時の自然の腹式呼吸では、息を吸うときは横隔膜が下がり腹が膨らみ、吐くときは横隔膜が上方に動いて腹の膨らみは元に戻る。

胸式呼吸

【胸式呼吸】(平常呼吸)
まず胸式呼吸というのは、わたしたちが普段の生活の中でしている呼吸です。息を吸ったときに肩が少し上がるのが特徴です。いい例を挙げると、深呼吸をしてみてください。息が肺の中に入っていって胸がふくらみ、肩が少し上がるのが分かると思います。ではそのときに体の中はどうなっているかというと、左図のように空気が肺に入った際に肺が上と前後左右にふくらみます。それが胸がふくらむ要因になり、体を押し広げて肩を上げることにもなります。

腹式呼吸

【腹式呼吸】
胸式呼吸と比較して腹式呼吸は、お腹をふくらますことになります。しかし、お腹に空気を入れているわけではなくあくまで肺の呼吸です。では胸式呼吸とどう違うのか?左図をご覧ください。違いは肺をふくらませる方向なのです。肺を下の方に向けてふくらませ、横隔膜が上下するわけなのです。こうして下の方に肺をふくらませることで、お腹がふくらむという仕組みなのです。(腹式呼吸では肩は上下しません。)

臍下丹田
画像の説明

問題は 自然の腹式呼吸(順腹式呼吸)と吟詠時の腹式呼吸(逆腹式呼吸、臍下丹田呼吸)の違いにある。吟詠では横隔膜の上下動作が逆になる。詩吟では胸式・腹式の両方を使った特別な呼吸法を行う。胸式呼吸で吸込んだ空気を横隔膜を上にしっかり引き上げて腹を引っ込め、息を一度止めて(保持して)から、横隔膜を下方に除々に圧しながら(お臍の下辺りを意識して支点を下げる)腹を膨らませて発声する。吟声を出すには息を吸う前に、吸った息を全部出し切ることが大切です。
胸式呼吸の練習
発声練習
 (トレーニング)
   1.平常呼吸(胸式呼吸)を4~5回 静かに繰返す。
   2.お腹回りの筋肉を絞って、吐く息を長く多く出す、決して肩・胸に力を入れない。
 (息を素早く吸えない場合)
   1.息を十分出し切ってから、お腹の力を緩めて息を吸う。
   2.吐く・吐く・吐く を続ける。
   【注】腹筋を鍛えることよりも、息を止めないことの方が大事。
 (ポイント)
   1.発音は息の流れそのもので、単に口の開き・舌の動きだけでなく、息を加工して外に送り出す発声法を勉強する。
   2.子音を大事に、只高い声・大きい声を追い求めるのは疑問。
   3.息を出すこと、声帯に余分な力を入れないこと。
   4. 発声のときの意識は、音程が高いときは首や頭、低くなるにつれ臍の下など体の低い部位(位置)に移動させる。   
詩吟の発声法でよく聞くことば
  裏声・頭声:声帯がひっくり返るから裏声ではなく、頭から声が出るのでもない。その様に聞こえるという感覚的な言葉。
  お腹から声を出す:お腹の筋肉を使って出すということで、「腹式呼吸」を指している。
  りきみ・プレッシャー:ともに緊張により自然な呼吸が出来ない原因である。
  お尻を締める:お尻の穴だけを締めるのは単に突然の催しを我慢しているだけで、骨盤を前に突き出しお尻全体を包み込むように徐々に締めていくと
  エネルギーの下への出口が塞がれ、お腹周りの筋肉が働きやすくなる。  

参考⇒無料メール講座「話し方」
【備考】
呼吸法・発声法に関しては無数の流派・ヴォイストレーニングがあり、読めば読むほど混乱してしまいます。要はあくまで参考にとどめ、自分で工夫することだと思います。また詩吟の本質から、あまり技法にこだわるのも如何なものでしょうか?
関心のある方は、次のWebサイトが参考になると思います。
   吟詠の為のヴォイストレーニング
   発声法について
   ファルセット
   「吟詠の発声法と発音」など参考図書

姿勢
直立不動の「気を付け」は全身に力が入り吟詠には不適当であり、無理なく発声ができるのが良い姿勢である。具体的には両足を少し(肩幅より狭く)左右に開き、両足は突っ張らずひざにゆとりをもち、足指先をやや外に向けて体重が両親指に平均に掛かる様にして身体を安定させる。女性の場合は両足を前後に少々ずらして立つと、体重は前後の両足に均等に掛かり安定する。息を吸うときは肩を上げない様に、吐くときは胸を張ったままの状態でゆっくりとすこしづつ吐きだす。要は力の入った固い姿勢では、高音部で喉が詰まったり、低音も声が出しにくくなる。

【音程】
主音
吟詠の音階は主音を中心に上下するので、自分の主音の位置(本数)を正しく知る必要がある。知る方法はいろいろあるが、絶句であれば高音部(一般に転句)を吟じてみて、出はじめの声から逆算する方法(本数を一本づつ上げてゆき、いわゆる「ウラ声」から「オモテ声」にひっくり変える限界音)などがある。ほぼ決まればコンダクターなどで先生に確認してもらうのがよい。また唱歌「荒城の月」(詩吟と同じ短音階)を唄ってみると、自分の主音・音域が確認できる。
荒城の月
なお絶句の本数に対して、短歌では一本低く・俳句では一本高くするのが普通。また歌謡吟詠などでは歌謡部分(陽音階の場合)と詩吟部分(陰音階)の調和が必要となる(普通は二本の差)。
→ 詩吟の楽典【詩吟の音階】 【主音の位置】 【詩吟と民謡の組合せ】 を参照
節調(せっちょう)
最初の段階では吟譜とコンダクターの音で音程を正しくマスターすることが必要であるが、何時までもこの方法で練習を続けると詩吟特有の微妙な節回し(ゆりなど)が出来なくなるので、先生の吟を耳から覚えることを心懸ける。→ 岳精流の吟譜 を参照

【詩情の表現】
詩吟には無形リズムともいえる詩情リズムが聴く人を魅了する。それは吟の強弱・緩急・間合いから生まれることを自覚する。
強弱と緩急
詩をよく理解し作者の作意・詩眼( → 漢詩の基礎知識【漢詩鑑賞の仕方】を参照)をポイントに変化をつける。よく「熟語は一気に読下し、節は語尾につける」と云われるが、うのみにした機械的なやり方は好ましくない。
詩吟は「語り物」です、書体でいえば草書・楷書 ⇒ ゴシック体で節調を明確に力強く
間合(まあ)
基本は「二句三息」であるが、あまり意識し過ぎると間伸びした眠くなる吟詠になるので注意。

【立派な吟詠】
「立派な吟詠」とは、美声・技巧ではなく、吟者その人特有の個性豊かな(その人の持ち味で)朗詠ではないでしょうか。その主な要件とは
詩に対する思い
詩をよく理解・鑑賞し、作者の心情に少しでも近づき、詩中の人となる。
迫力
迫力とは、生命の燃焼であり心の集中である。迫力のある吟詠は聴く人に感動を与えずには置かない。気合いでもある。
開口音の美しさ
特に母音の響き
読みの緩急(一般的に)
起句・承句、教訓詩など ----> 急リズム
転句・結句、叙情詩など ----> 緩リズム
間合い
「三呼一吸」息を吐く(呼)ことが主で、息を吸うことは従とする。すなわち「出息は長く、入息は短く」ということ。これは次の「息継ぎ」と共に、詩情表現に大きく影響する。
息継ぎ
二句三息(にくさんそく)」漢詩作詩法上の原則「二句三節」に則った息継ぎ箇所で詩形上望ましいが、現代の吟法では難しい場合が多く二句三節以外の箇所では、いわゆる「(かく)し息」を使って息継ぎをする。

【岳精会 詩吟習得心得】 (岳精会「詩吟習得手帳」より)
吟の習得に、また態度に、真面目さを欠くとき、その人の吟は死吟になる。我々は、生きた吟をやるためには、常に謙虚な気持で、真面目に勉強することが大切である。(横山岳精)
★ 正しい発声
★ 正しい音程
★ 正しいアクセント
★ 的確な詩心表現
★ 礼節をわきまえた態度

【吟詠会での心得】
吟詠会では「聞かせる」ことと共に「見せる」ことにも気を配らなければいけません。とは云えあまり難しく考えることはありません。「礼節と品格」を心懸けることがポイントです。
舞台の登場・退場
舞台の袖で出番を待つときは客席からちらちら見えないようにして、登場のタイミングは舞台係の指示に従い、登・退場の歩き方は綱渡りのように一直線上を歩いたり・能の"摺り足" は不要で、視線は自然な視覚(約60度)で前方を見て進みます。歩行コースも舞台係の指示によりますが、方向転換をする場合も"角" を取ったり・"右向け右"的なことはしない方が自然です。なお退場のときに吟の不出来に"ふてくされ"態度や"照れ笑い"は、大変見苦しいものです。
マイクの使い方

マイク

マイクは舞台係のマイクドバイスや舞台袖で前の出演者の状況を確認して、上手に使って下さい。
声の大きい人が近寄りすぎて声が割れたり、遠すぎてマイクに入らないようにして下さい。会場設備毎にマイクの感度・指向性(声をとらえる角度)が異なるので、研究することが必要です。
またマイクの高さ調節は、一般的に角度はなぶらずにマイクスタンドの高さを変えることを覚えておいて下さい。


手の組み方・白扇の持ち方





手の組み方手の組み方には、いろいろありますが、女性が吟詠する際の立ち姿と手の組み方は、長年の経験から、見た目の良さ・発声の点からも、現在の形がとられるようになったと考えられます。
手の組み方は右手指先を左手で軽く握り、帯の下方に自然な状態に組みます。組み手を上方に置かないこと。
白扇は女性の場合、立っての吟詠・歩行中ともに帯にさしておきます。坐って吟ずる(坐奏)ときは扇の先(天)を左(てのひら)で受けます。





白扇の持ち方白扇の持ち方
日本の伝統芸能では舞台で演奏する人の約束ごととして、扇を持つ習慣があります。白扇(地紙が白無地白骨の扇)は男性九寸、女性は七寸位。扱い方は男性の場合、右手小指の腹が扇の要(扇の骨をまとめているくぎ)を押さえるように"構え持ち"("握り持ち")して、下方45度位の角度に構えるのが基本。歩行中は白扇を持った手を振らないこと、ハンドマイクや詩文用紙を持つ場合など片手がふさがるときは、白扇は帯にさしておきます。帯にさす位置は男女とも左乳の真下で、帯から2〜3cm位地紙がのぞくように要の方から差込みます

この項目については公益財団法人日本吟剣詩舞振興会画像の説明発行・月刊誌「吟と舞」より引用させていただきました。(承認済)


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