日本語の発音
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詩吟は日本語の美しさを最大限に活用した伝統文化です。したがって音程とか
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【日本語のアクセント】 例外が多く極めて複雑ですが、ごく基本的なことについての説明です。
日本語のアクセントは高低による「ピッチ・アクセント」で旋律の高低に関係します(⇒音楽の科学?)
Up このページの最下部に合成音声による音声サンプルがあります。
【イントネーション】 よくアクセントと混同されるのが、イントネーション(抑揚)です。つぎの文章を気持を込めて読んでみて下さい。
"これはこれは美しい花ですね"
"深いふかーい湖の底に"
太字の部分にイントネーションをつけて読むと
調子をもち上げて「これはこれは」---- いかにも美しさに驚嘆した
低くえぐる調子で「ふかーい」---- 本当に深い
という感じが表現されていませんか。
アクセントは言葉の意味を正しく伝えるために必要であり、イントネーションは言葉をさらに美しく表現します。
しかし、アクセントとイントネーションは厳密に区別しなければなりません。
中国の音調言語や西洋の強弱アクセントと違って、日本語のイントネーションは平らで大きなゆるいカーブのような調子で順次進行します。
【二音 + 一音】の原則
日本語は音数(拍)で数えられ、原則として音をかな書きして一字一音という独特の美しいリズムを持っている。二音一単位の原則により、最初から二音ずつに区切って発音しようとする傾向がある。例えば
(3拍) 拝す はい・す (2 + 1)
(4拍) 古陵の こ・りヨお・の (1 + 2 + 1)が原則 ---> こりヨ・おの (2 + 2)が自然
(5拍) 白鳥は しら・とり・は (2 + 2 + 1)
詩吟には西洋音楽のような規則的なリズムはないが、上記の傾向から強いて云えば2拍子が合う。
【語頭には一拍を置かない】という原則
日本語は語頭・文頭には一音節(一拍)を置かないことになっている。例えば
意足りて求めず....(「山居」藤原惺窩)
「意足りて」は「いー・たりて」では語頭は2拍となるので、「いた・りて」と読む。同様に
日落ちて....(「洞庭湖に遊ぶ」李白)
「ひー・おちて」ではなく「ひお・ちて」と読む。何度も吟じると不自然さはなくなる。
【音数分担と意味分担】
前述と矛盾するようであるが日本語のリズムを考えると、二つのリズムがある。例えば「桜島」という場合
音数分担:|サク|ラジ|マ|
意味分担:|サク|ラ|ジマ|
日本語のリズムに関しては、次の図書が参考になります。
別宮貞徳 著「日本語のリズム ~四拍子文化論~」ちくま学芸文庫
坂野信彦 著「七五調の謎をとく ~日本語リズム原論~」大修館書店
【
語頭以外の位置に現れるガ行音・ギャ行音が鼻音を伴って発音されることがあり、これを鼻濁音という。
「がっこう(学校)」は「ガ」の音が語頭にあり、鼻音を伴わない閉鎖音の「ガ」であるが、「しょうがっこう(小学校)」の「ガ」は語頭ではないので鼻濁音で発音される。
また「ガタガタ」「ゴトゴト」のような擬音語・擬態語・同音繰返しの場合は鼻濁音化しない原則があるが、吟詠では耳ざわりな響きとなるので、あえて鼻濁音とすることが多い。
岳精流の吟譜では「九月(がつ)十日」「く
鼻濁音の発音が出来ない人は、頭に軽く「ン」を付ける気持で、ンガ ンギ ング ンゲ ンゴ と発音する練習をするとよい。
【助詞の「を」】
助詞の「を・ヲ」は、「ウォ (WO)」ではなく「お・オ (O)」と発音する。
【わたり】 吟剣詩舞振興会の吟詠コンクール審査規定
熟語の一拍目と二拍目の音の高低が異なることが、アクセントの大原則である。よって、この高低差を明確化するため『わたり』をアクセントの重点項目(ポイント)とする。
『わたり』、すなわち、熟語の一拍目と二拍目の音の高低が異なっているかどうかの判断は、二拍目 の語に移行する際の高低差が、語の頭の部分(『わたり』の二拍目の語「た・TA」を仮に父音部分「T」と母音部分「A」に分解したときの父音部分「T」) から高低差がついているかどうかがチェックされます。『わたり』の多くは父音部分は一拍目と同じ高さで、母音部分から高低差をつけるというのが大半と考え られます。
言葉 | 花は・・・ | 柔らかに・・・ | 留意点 (音程差) | ||
---|---|---|---|---|---|
わたり | 音拍 | 音程 | 吟 じ 方 | ||
無し | 一拍目 二拍目 | (ラ) (ファ) | は(Ha) ╲る(Ru)ーは(Wa)・・・ | わ(Wa)ーら(Ra) ╱ ╲ や(Ya) か(Ka)ーに(Ni)・・・ | 「一拍目(子音)」と 「二拍目(母音)」の音程差なし |
有り | 一拍目 二拍目 | (ラ) (ファ) | はーる(R) ╲ウ(u)ーは・・・ | ア(a)わ(Wa)ら(Ra)か(K) ╱ ╲ や(Y) ア(a)ーに・・・ | 「一拍目(子音)」と 「二拍目(母音)」の音程差あり |
また、一拍目と二拍目の音の高低差が無い「無アクセント」についても、『わたり』に準じてチェックされます。
この『わたり』は吟詠に味わいを出す効果もあり、必ずしも否定されるべきものではないが、コンクールでは規定を守らなければならない。岳精流独特の節調 「)月型」 も「わたり」ととられる恐れがある。
【母音の発声】
母音を発声するときの口形。詩吟では余韻(節調)できれいな母音を響かせることが最も大切なことです。
喉の声帯が発することが出来るのは母音でけです。
通鼻音といわれる「ン」は、唇を軽く閉じ声を鼻から出す。舌の先は上の歯の裏に当てて発声します。
【母音の作用】
詩吟の歴史(詩吟の流れ--->邦楽と言葉)では、音を伸ばして震わせる(または転がす)ことを述べましたが、「諸行無常」を「しょぎょォ~ォ~ォ~ォ~」とずっと長く伸ばすと最終的に子音は飛んでしまって・耳に残るのは「オ」の響きです。音を伸ばすと響き渡るのは母音なのです。このことから言葉が響きとなって形をなし・言霊の力を持つのは母音の響きの効果です。母音の響きは音声を発する人の身体(特に頭部・胸部)を振動・共鳴させて、その人の感情の奥底に直接的に作用します。ルドルフ・シュタイナーは母音の響きがもたらす不思議な作用(感情)を語っています。要約すると
A(アー):明るさ、充実、白さ、尊敬、賛美
I(イー):指示、近ずく、一緒に
U(ウー):恐怖、不安、空虚、黒さ
E(エー):抵抗、身を守る、遠ざける
O(オー):驚き、驚嘆
【母音で終わる日本語のやわらかさ】
子音で終わるものが多い英語に比べ、母音で終わる日本語は語勢がきつくなく響きがソフトで心地よく聞こえます。
【子音の発声】
吟詠では母音の発声と共に、いわゆる「子音」の発声時に生ずる母音(生み字の母音)も前に出す (引き音では声がこもる) ことが大切です。感覚で操作することが難しいので、口を大きく開け且つ口の開閉運動を活発に行うことが重要である。
発声に関する資料は財団法人日本吟剣詩舞振興会発行・月刊誌より引用させていただきました。(承認済)
準備音(予備音)
吟詠の場合、語句が発せられようとする瞬間の無声・有声の音で、気息音(ハ行)・摩擦音(サ・ザ行)など語頭の語句を歯切れよく且つきれいに出す時に使われる。語頭の子音を意識しながら発声します。迫力を作りだす結果となる。
【例】霜は軍営に満ちて(九月十三夜陣中の作)
(シ)
S・Si.......................N・Mi.........
【音声サンプル】 (音声合成ソフト「かんたん!AITalkⅡPlus」で作成)
アクセントサンプルは「四拍語」(このページの冒頭リスト参照)を2回繰返し、「読みの速度」は通常より遅くしてあります。
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このページの最終更新日時:2020-04-02 (木) 13:06:28