すばらしい日本語

大和言葉

日本には漢語と外来語の他に、日本人自身が育んできた生粋の「大和言葉」があります。知的で優雅な余韻を残す極めて美しいことばを大切に残し伝えたいものです。
日本語・日本文化のすばらしさは、新しいものをどんどん採り入れて、自分のものにして使いこなす点にあります。
※内容は
東邦出版㈱発行「日本の大和言葉を美しく話す」(高橋こうじ 著)および
㈱幻冬舎発行「さりげなく思いやりが伝わる大和言葉」(上野誠 著)
より抜粋・転載させていただきました。


先ずは、唱歌「故郷(ふるさと)」(作詞:高野辰之)を聴いてみましょう。

(1) 兎追(うさぎおい)()の山 小鮒(こぶな)釣りし彼の川 夢は今も巡りて 忘すれ難き故郷(ふるさと)
(2) 如何(いかに)います父母(ちちはは) (つつが)無しや友がき 雨に風につけても 思ひ()づる故郷
(間 奏 曲)
(3) (こころざし)を果して いつの日にか歸らむ 山は青き故郷 水は清よき故郷

懐かしいこの歌は心に染みます、それは歌詞のすべてが大和言葉であることです。


場  面
大  和  言  葉
こ と ば解    説
語らい
会話の場で自分の思いを口にするとき、適切な言葉を使って相手に解ってもらいます
語らい
こよなく形容詞「こよなし」から来た言葉で、群を抜いている意味でしたが、現在では良いことにしか使われなくなった。度合いを強調したいときには、「このうえなく」よりも似合います。上品な香りがしますが使いすぎは禁物で、「とても」や「非常に」と云う。現代の若者で流行の「チョー」などは論外
恐れ入ります感謝の言葉「ありがとうございます」以外に、漢語の「恐縮です」より和やかに相手の心に染み入ります
もてなし
日本が誇るべき精神として注目を浴びている「おもてなし」。自分の趣味・生き方・相手への思いなどを丁寧・正直に表現し、両者の心の間で響き合うコミュニケーションです


ようこそ
お上がりください個人の家に客を招き入れるときには「どうぞ お上がりください」が一番、「お入りください」も立派な敬語ですが商店・会社・公衆便所などでも使われる
ごゆるりと緊張している客にリラックスしてほしいと伝えたいときは、昔も今も「おくつろぎください」は日本人の心を癒す優しい言葉ですが、その前に一言つけるとすれば「ゆっくり」(時間)「ゆったり」(空間)はどちらも”ゆとり”を表わしますが、「ごゆるりと」はどんな場でも使える
「もてなす」の語源は「モノを持って成し遂げる」からきており、お客様に応対する扱い・待遇のことを指し,同じく「表裏無し」表裏がない心でお客様を迎えることです。
①:想定外の気遣いをすべし ②:見返りを求めるなかれ
手紙
「拝啓」「敬具」など畏まった言葉もさることながら、略式でも気持ちがこもった手紙が印象に残ります。
てがみ
日ごろは何かと日常的な交流や仕事で関わる相手に対しては「日ごろは」を添えると和の手紙らしくなる
お身体を
(いと)いください
よく使われる「時節柄ご自愛ください」もいいのですが、柔らかい響きのこの表現も使いましょう。「体」という文字を使わず「身体」と書いて”からだ”と読む習慣は国語の規則に反しますが、中高年への手紙では守ったほうが無難です。
言挙(ことあ)
大勢の人前でスピーチやプレゼンをする時、大和言葉の接続詞や副詞句を用いて普段より明晰でインパクトのある言葉で語りかけるのは、とてもお洒落でかっこいいものです。
スピーチ
まさしく言葉通り「まったく その通りです」「まさに」「まったく」を替えると上品な香りを帯びます。
なかんずく同じ性質や傾向を持つ事柄・事例を述べた後に「なかでも」に代えて使うと、きりっと引き締まった感じになります。「中に就くに」が変化した言葉と云われます。
言伝(ことづて)
書置きやちょっとした報告は短文ですが、その一語一語が相手の心を波立たせます。
今年もよろしくね
(おおむ)「だいたい」の意味ですが少し無責任な感じを与えるので、この「概ね」は格調高い言い方となります。
遅ればせながら丁寧な謝罪が大げさでおかしい、かと言って何も言わないのもどうか・・・と迷った場合などに「少し遅れて ごめんなさい」と云う気持ちがじんわり相手に伝わります。もともとの意味は遅れて馳せ参じること
交じらい
人間関係は厄介で面倒なものですが角の立たない言い方で、小さい出会いも大切にしたいものです。
折り合う
手を携える複数の人が手を取り合って進むということですが、目標に向かって皆で頑張るという文脈で使われ平等な社会への憧れを漂わせます。
折り合う両者の主張が対立したときに互いに譲り合って穏やかに話を纏めることですが、「妥協する」という言い方は主張を貫けなかったという負のイメージとなるが、この表現は立派な大人の対応をしたと云う感じになります。
装い
相手の服装や出で立ちについては直接的な物言いは避け、和らげた表現を用いてエレガントな対応をしましょう。
こざっぱり
こざっぱり似た言葉の「垢抜けている」という言い方は洗練の度合いで清潔さについての言及ではありません。この表現は「派手さはないが清潔」な感じのときに用います。
味わい
最近は食材や料理を比較・格付けして「極上」「絶品」「ベストグルメ」といった言葉が踊っていますが、和の食文化を表すには日本固有の言葉がしっくりします
とろ火
とろ火煮物などを長く煮るときのごく弱い火加減のことで、小さな炎が揺れる様子を表す「とろとろ」から派生した言葉。鍋の中で静かにゆれる具材のイメージも重なり、調和のとれた穏やかな世界が浮かびます。
くどくないテレビなどで「甘さ控えめでおいしい」という場面をよく見ますが、伝統的に「甘い」と「うまい」は双子のように使われてきたからです。甘い物を褒めるときには「甘さ」を肯定するのが基本で、そのうえで「くどくない」という言葉を足すことにしましょう。
眺め
展望台やパノラマ写真からは得られない、自分の目で眺めた率直な感動をそのまま絵葉書などで伝えましょう
安芸の宮島
名にし負う和歌に出てくる「有名な」という古い言葉で、日常会話では使われない。「名」は名称で「し」は強調助詞、「負う」は「背負う」の言葉で持っている・担っているの意味。こうした風雅な言葉をあえて使うことで、今の自分は普段と違う情緒と興奮を胸に旅をしているという巧みな一筆を添えた絵葉書などは独特の味わいがあり相手に伝わります。
山の()「枕草子」の冒頭で有名です。山の稜線のことで遠くに見えている山々の上側の輪郭が空と接するという視覚的イメージがとても鮮やかな表現で美しい文章になります。
学び
「まねる」から生まれた動詞と云われるが「学ぶ」には重みと深みを感じます。知識や技術が「自分の能力」になる変身です。
雛人形
綴る元の意味は糸などを「つなぎ合わせる」ことで「書く」と比べより丁寧な作文のイメージが表現できます。「思い出を綴る」「悲しみを綴る」などのように詩情が漂い、大事な手紙などに似合う言葉です。
雛形(ひながた)基本的には「模型」と同意ですが精巧・精緻というイメージはありません。「雛」は小さいことで語源は幼い鳥のヒーヒーという鳴き声だと言われています。実物より小さく作られたという点に注目した呼び方で「雛人形」「雛罌粟(ひなげし)」などがある。
そぞろ歩き
見慣れた処をぶらぶら歩くことは、平凡な人生の中で得られる幸せと感動です。
道すがら
道すがら散歩は思案や思索の場にもなります。「散歩の途中で・・・」より「散歩の道すがら・・・」のほうが真剣に考えた」ことが伝わります。この言葉には「途中」だけでなく「道を歩く間じゅう」という意味もあるからです。
道標(みちしるべ)案内を「標識」や「看板」というとドライブをしているようですが「道標に従って」と言えば風情が生まれます。
生きもの
単なる動植物の名前ではなく、犬・猫・木々・草などと相思相愛のつもりで・・・
たわわに実る
生きとし生けるもの「生きる」という言葉を変化させながら繰返し、間に「と」「し」という強調助詞を挟むことで「すべての生きもの」が表現され、より強く情感に働きかける力を持っています。犬・猫・鶯・鯉・蛙・鈴虫などこの分野ではほとんど漢語の進出を許していません。
たわわに実る穀物や果実の「豊作」ですがイメージがより鮮明に伝わるのは「たわむ」から生まれた言葉「たわわ」を使うと、重量感を表現して実りの多さが伝わります。
思い
心理学や哲学の本には「存在」が思いを生むいう趣旨の説明が載っていますが、現実の私たちが抱く「思い」の複雑さ・不思議さに照らすとあまりに単純で解明には程遠い感じです。
感動
胸に迫る「感動した」という言葉はほぼ全ての場面で使えますが、感動と一口に言っても実はいろいろな感じ方があるはずです。ぐっと来たなら「胸に迫る」・ずしんと来たなら「胸を打つ」・じわじわ来たなら「胸に染みる」など言い回しを使い分ける習慣を持ちたいものです。
(かえり)みる送別会や解散式などで「振り返れば・・・」「思い起こせば・・・」という記憶を語る場面がありますが、真摯な反省の気持ちを述べたいときにふさわしいのは「今日までの自分を省みると・・・」「この十年を省みるとき・・・」といった言葉が、単なる過去ではなく過去の自分を見返る内省のイメージを伴う言葉がよいと思います。

大和言葉では現代的な時間の単位とは異なる尺度で時を表します。とらえ方ひとつで日々流れ行く時間に、新鮮さが生まれます。
古時計
ひとときもともと「一時(ひととき)」は約2時間をを表したが「ひととき」と書くと「ある程度の時間」を示すようになりました。その発音の美しさのせいか「楽しいひととき」「安らぎのひととき」のように、心地よく過ごす時間について使うことが圧倒的に多く喜ばしいイメージを帯びています。
来し方行く末「過去を踏まえ、未来を展望して・・・」という歳月の流れの表現ですが、過去・未来が抽象的な概念であるのに対し「来し方行く末」は人間の歩むイメージで深い感慨を覚えます。

日本人的精神の代表とも云える「八百万の神」への信仰。魂の存在を思うのは、いたって自然なことで人生への安らぎと希望をもたらすように思います。
魂
(しで)神社の正面に張られている「注連縄(しめなわ)」はよく知られていますが、その下に吊るされた白い紙のこと。「吊り下げる」の古語「垂づ」の名詞形「垂で」がそのまま名称になったもの
幸先(さいさき)縁起・前兆の意味で語源は「先触れ」。幸先の良いことがあると「よし! 頑張るぞ」という気持ちが湧いてきます。

【大和言葉美人になるための4つのコツ】雑誌「いきいき」(2015/7号)より転載
1.背伸びをして使い過ぎは禁物、連続使用は避ける。
   「このうえなく」「こよなく」などは上品な香りをまとわせる一方で、
   何度も続けて出てくると鼻につくので「とても」など普段の言葉も織り込み
   節度ある使い方をする。
2.相手との関係を考えて使う言葉を選ぶ。
   大和言葉なら何でもいいというわけでなく、
   親友なら「今日は楽しゅうございました」より
   「今日は楽しいひとときをありがとう」としたほうが相手との距離にふさわしい
   言葉となる。
3.口にするのが気恥ずかしいなら先ずは「書き言葉」。
   手紙やメールなど「書き言葉」でも大和言葉の魅力は十分に生かせる、
   「日ましに春めくこの頃」「お心にかけていただき」など、
   心にこもった文面として相手」に伝わる。
4.手紙文中でお礼などを繰返すときは「重ね重ね」を。
   「ありがとうございます」や「感謝いたします」のような繰返しを避け、
   「幾重にも」「あらためて」といった大和言葉をつけると落ち着きがよくなる。
【言葉とはなにか】
1.時代を映す鏡である
    古い言葉を学べば古い時代のことが、
    今の言葉を学べば今という時代を学ぶことができる。
2.それを発する人の人となりである
    優しい心は優しい言葉になり、
    厳しい心は厳しい言葉となる    
3.しきたりの魂である
    そのしきたりこそが、文化である    
4.生活そのものである
    生活実感がない言葉は、人に伝わらない    
すてきな表現に巡り合ったら、何時か使ってやろうと、
常に虎視眈々と狙う心持でいることが大切
大和言葉を上手く使いこなすには、むしろ漢語と対比して考えるのがよい




中日新聞(H28.9.22朝刊)より転載
「ら」抜き言葉
一服邦楽演奏を聴いて ちょっと一服しましょう

美しい言いまわし

日本語は世界でも有数の「豊かな表現力」を有する言語です。その魅力(美しさ・妙味)を知り残しつづけたいものです。
「美しい『日本語』の言いまわし」(発行:三笠書房「知的生き方文庫」)より抜粋・転載させていただきました。

区分美しい言いまわし日常言葉語源・由来・意味など使い方
想い花心浮気心咲いてすぐ散る花のうつろいやすさ彼女は浮気心に揺れている
    ⇓
彼女は花心に揺れている
心化粧(こころげしょう)心の準備相手に好感を与えるために心の準備をすること心の準備をしてあの人に会う
    ⇓
心化粧をしてあの人に会う
人心地(ひとごこち)がつく平常な気持ち人間らしく生きている状態仕事がひと段落して、人心地がついた
ほぞを噛む()過去の失敗を嘆き後悔する自分ではどうにもならないこともっと勉強すればよかったと、ほぞを噛む
気色(けしき)ばむ怒りを露わにする「気色」は気配・様子、「はむ」は拒む上司の言葉を聞いて気色ばんだ
愁眉(しゅうび)を開く心配事が解消する憂いを含んでひそめた眉うれしい知らせに愁眉を開く
今昔(こんじゃく)の感今と昔であまりに違う昔のことを思い出し、現在との変りように驚いた感情この辺りの光景は、今昔の感に堪えない
そこはかとなくなんとなくそこはこうであるそこはかとなく悲しくなった
(おん)の字ありがたい吉原の遊女が惚れた客に使った言葉と赤点でなくて御の字だ
(こいねが)願う心の底から強く望む、「()う」とも書く娘の幸せを希う
心安い気を許せる気心が判っていて、遠慮のいらないあの娘は心安い友人です
なしのつぶて音沙汰(おとさた)なし投げた(つぶて)(小石)が戻ってこないように返事がないこと彼からの返事はなしのつぶて(梨の礫)だ
刹那(せつな)今が良ければそれでいい「刹那」はサンスクリット語で一瞬・瞬間、「クシャナ」の音訳(1/75秒)刹那的な人とは付き合えないよ
奇特(きとく)な人賞賛すべき行為をした人他人と違うイメージではなく褒め言葉親身になってかかわり合うあの人は。本当に奇特な人だ
関係竹馬(ちくば)の友幼な友達竹馬(たけうま)で遊んだ間柄の友人彼とは竹馬の友です
(ひざ)送り少し詰める座ったまま膝を動かし体をずらすすみません、お膝送りをお願いします
愛想(おあいそう)勘定(かんじょう)飲食店などでの支払い(符丁)お客さん、お愛想お願いします
いとま帰る、辞める物事の間にできる空白部分そろそろ、おいとまさせていただきます
(つつが)無くお元気でツツガムシを媒介とする病気に由来恙無くお過ごしですか
状態堂に入るプロ級「堂に(のぼ)れども未だ室に入らず」(孔子)あの子の歌声は堂に入っています
いでたち服装、身なり旅立ちや出陣からの派生語シックないでたちで面接に出かける
楚々(そそ)とした清楚な気品があり清潔感の漂う若い女性彼女は楚々とした女性です
かんばせ顔つき顔つき、容貌を意味する「かおばせ」の変化語花のかんばせ
春秋(しゅんじゅう)に富むこれから先の年月がたっぷりあるまだ若くて残された年月が多い君は春秋に富む若者だ
しじま静寂(せいじゃく)縮まるの古語「しじまる」カラスの声が夜のしじまを破った
生成(きな)天然の色合い染めたり晒したりしない自然のままの色合いすてきな生成りの色合いですね
つくねんなんとなく、じっとしているうずくまるの動詞「つくねる」の語幹に「然」を付けた言葉彼はしばらく、つくねんとしていた
(おつ)しゃれた、(いき)邦楽の音調「乙」(魅力的な低音)が語源乙なお土産をありがとう
有卦(うけ)に入る幸運続き陰陽道(おんみょうどう)の運の上昇期今年は有卦に入っている
うたかたはかない、無常鴨長明『方丈記』の冒頭(よどみに浮かぶうたかたは・・・)現在の豪奢な生活はうたかたの夢のようだ
さわり曲や詩・物語のサビの部分義太夫の用語で一番感動するところ、盛上る部分。最初の部分ではないほんの「さわり」を披露していただけませんか
行為嗜む好んで親しむ好み、趣味を意味する動詞形茶道を嗜んでおります
ひそみにならう人の真似をする古代中国『荘子』のなかの故事出世した父のひそみにならい、朝方勤務をはじめた
琴線(きんせん)に触れる感動する人の心を琴の糸(弦)に例えた物語が琴線に触れた
一目(いちもく)置く実力を認める囲碁で弱い方から先に石を置く習慣後輩の彼には一目置いている
因果を含める説得する原因と結果を意味する仏教用語子供に因果を含めて志望校をあきらめさせた
耳朶(じだ)に残る聞こえる耳に残る「耳朶」は耳たぶ→聞こえる美しいメロディが耳朶に残る
縷々(るる)述べる事細かく説明する「縷」は細い糸→「縷々」で細く長く進捗状況を縷々述べた
性格

性質
''居丈高(いたけだか)威圧的な態度座高が高い態度取引先の社長は居丈高である
圭角(けいかく)がある角がある玉にある尖った角あの先輩は圭角があるから嫌だ
悋気(りんき)深い嫉妬深い「悋」は物惜しみ、けちけちする旦那が悋気深くて嫌になっちゃう
けれん味ごまかし、はったり奇抜で大掛かりな芸で観客の意表つく歌舞伎の演技君のプレゼントはけれん味がなくて素晴らしい
麒麟児(きりんじ)神童(しんどう)古代中国の伝説上の聖獣プロの棋士に勝つなんて麒麟児に違いない
白河夜船(しらかわよぶね)ぐっすり眠っている
知ったかぶり
京都に行ったと嘘をついた男が白河(地名)について尋ねられたが
川の名前と勘違いし「あの川は夜船で通ったのでわからない」と答えた
彼の話は白河夜船だ
程度醍醐味(だいごみ)真髄、最上最上の味とされたバター状の食品野球の醍醐味は最終回の攻防です
けんもほろろまったく~ない雉の鳴き声「けーん」と飛び立つ羽音「ほろろ」頼みごとは、けんもほろろに断たれた
(よう)としてはっきりわからない「杳」は日が沈んで暗い様子祖父の行方が杳としてわからない
(すこぶ)る付き非常に、たいへん普通の程度を超えて甚だしい様子彼は頗る付きに賢い
かりそめ一瞬ほんの短い間、はかないかりそめの恋だった
厳粛(よしみ)を結ぶ親しくする親しい間柄・交わり先輩とは誼を結ばさせています
弥栄(いやさか)を祈るますますの発展を祈る「弥」はいよいよ、ますます弥栄をお祈り申し上げます
()もじするお目にかかる宮中女官の女房詞・文字詞来週、お目もじしたく存じます
僭越(せんえつ)ながらおこ鳥滸がましいのですが身分・権限を越えて何かをするときに断る言葉僭越ながら私が挨拶させていただきます
おいといくださいご自愛ください「いとう」は大事にするの意味どうぞお身体をおいといください
不徳(ふとく)の致すところ自分が至らなかった「不徳」身に徳が備わっていない(仏教語)すべて私の不徳のいたすところです
粛々(しゅくしゅく)予定どおり着実に進める静かに進めるという意味
それは重畳(ちょうじょう)たいへん結構幾重にも畳み重なっているさまが転じて試験に受かりましたか、それは重畳ですね
芳紀(ほうき)年ごろ「芳」は百花の咲き匂うさま「紀」は年彼女は芳紀20歳になられました
水菓子(みずがし)果物奈良・平安時代には果物を指した水菓子でもいかがですか
情景花冷(はなびえ)春先の冷え込み桜の花が咲く頃の寒さ今日は花冷えだね
''花筏(はないかだ)'川面を流れる桜の花びら桜の花びらを筏に見立てた言葉花筏がとてもきれいだ
風薫(かぜかお)春風初夏の若葉の間を風が爽やかに吹き抜ける風薫る五月
青き踏むピクニック野に出かけて青草を踏み遊ぶ古代中国の民族行事「踏青」「春の野山で青き踏む」
五月雨(さみだれ)梅雨の雨「さ」は田の神、「みだれ」は雨五月雨が降ってきた
万緑(ばんりょく)見渡す限りの青葉漢詩「万緑叢中紅一点」に由来万緑の季節になりました
(しの)突く雨豪雨竹が束になって空から降ってきたかのような雨今日は篠突く雨に気をつけて
月の(しずく)朝露夜、月がこぼした雫今朝は月の雫が降りた
仄日(そくじつ)夕日「夕日」がプラスイメージなら。「仄日」はマオナスイメージ仄日が切ないね
有明(ありあけ)の月夜明けの月「有明」は空に月があるのに夜が明けること有明の月が美しい


言葉の由来・語源

日本語の何気ない「言葉」の由来や語源を知ると、愛おしい日本人の心(敬愛・感謝)がわかります。
『日本の言葉の由来を愛おしむ』(発行:東邦出版)より抜粋・転載させていただきました。

ことば由          来・語          源使い方
もみじ
画像の説明
「もみづ」の動詞活用から生まれた言葉で「ぢ」⇒「じ」は戦後の書き方。もとは「揉み出づ」「揉んで出る」ということです。この色の変化は神や精霊の偉大な力を感じます。この語源を心に置いて野山の景色を眺めて見ましょう。裏を見せ 表を見せて 散るもみじ(良寛)
(しま)
縦縞⇒ 縦横縞
和服の世界は縞模様の言葉(棒縞・金通縞・結城縞・八丈縞など)であふれています。古代にも平行線の柄(縦線⇒「筋」)、横線⇒「段」)はありましたが、室町時代後半に東南アジア・中国南部・インドからの織物に目を見張りました。南の島から到来した「しまもの」⇒「しま(島)」⇒「縞」が模様の名になってしまいました。結城縞
結城縞
ため息
ため息素晴らしい
言葉のもつ独特のニュアンスや魅力を見過ごしている言葉の代表例です。息を留めている状態よりも、それを吐く情景や心境が人々の心に深く刻まれ、やがて「吐く息」を指す言葉になった。ものごとが望み通り進まなかったとき
素晴らしい景色を見たとき
舞う
踊る 舞う
ダンスに当たる日本語には「踊る」と「舞う」がありますが、その違いは踊る:上下方向の動きで躍動感があり、舞う:水平方向の動きで優雅に感じます。「舞う」という言葉を付した先祖の繊細な感性は今も私たちの心を豊にしてくれています。激しく踊る
桜が舞い散る美しさ
()きたて
炊きたてご飯
「たて」は仕事や動作を表す動詞の後に付いて終わった直後を表わします。動詞「立つ」が変化したもので、幼く未熟だったものが立派になって「さあ、本番だ」と立ち上がるイメージです。歩く・壊す・消すといった、あとに何も残らない動作を表す言葉には付きません。炊きたてご飯
曳きたてコーヒー
採りたて野菜
()
温泉マーク
日本人独特の感性に気づかさせてる言葉です。海外では「熱い水(Hot Waterなど)」を意味し、漢字を用いる中国でさえ(トウ)はスープを意味し熱水(レシュイ)と表現します。ユという発音は優しく柔かく響く音なので「ゆったり・ゆるやか・ゆれる・ゆらめく」などの語頭に使われる。温泉の多い日本列島に先祖は、その気持ちよさ・ありがたさを呼び名でも表現せずにいられなかったのでしょう。湯(温泉)につかる
寝息(ねいき)
いびき
「眠っているときの呼吸」を耳にすると深い情感(生きる喜び・家族がいる・幸福感など)が込み上げてきます。三好達治の二行詩『雪』は静かで安らかで温かな世界を表現しています。
  太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ
  次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ
暮らし
暮らし
「生活」と同義語ですが大らかで穏やかで温かみがあり、かいがいしく働く人の息づかいも感じられます。動詞「暮らす」の名詞で「くら」:暗くなる・日が暮れる 「す」:行為を表わす。「時」の感覚で読むと「自然の一員として今日の命を生きる」ことで言葉の趣に納得できます。日が暮れるまで時を過ごす
   ♪やがて お寺の鐘が鳴る
里芋(さといも)
里芋
「さつまいも」と「じゃがいも」はどちらも舶来の芋で、江戸時代の「薩摩いも」と安土桃山時代の「ジャガタラ」(インドネシアのジャカルタ)が横綱しょう。「山:未開発地域」と「里:人が開発・生活している地域」は対義語ですが、山芋vs里芋も同じです。昔は山芋を「うも」と呼び、里の畑で栽培できる「家のそばでできる芋⇒いえつうも」と区別していました。先祖たちの嬉しげでつつましい幸せを表現しているように思われます。さつまいもじゃがいも
   さつまいも     じゃがいも

ツクツクボウシ  ホトトギス
 蝉    杜鵑     鶯
英語では虫の音はnoise(ノイズ)人の声はvoice(ボイス)と明確に区別されますが、日本人は擬声語で表わすのが好きです。
   ツクツクボウシ蝉⇒往信 着く着く(オウシン ツクツク)
   うぐいす⇒法 法華経(ホー ホケキョ)
   ホトトギス⇒テッペンカケタカ 特許許可局(トッキョキョカキョク)
人・鳥獣・虫を問わず使われる声は「心の存在」という世界観をいまに伝えており、ファンタジーの国に生まれた者の特権です。

    道
道は「目的地に至るコース」と「分岐点のたびに選ぶコース」の二大イメージがありますが、第三のイメージも考えてみましょう。(みち)の「」は敬意を表す接頭語で、大昔の人々に歩く筋状の土地は「ち」であったが敬意を払って「みち」と呼んだというのです。当時の人々は「万物有魂」を信じて山野の神々・精霊に感謝していたと思います。「」も同様です。縁:ありがたい縁 吟の
(よん)(なな)
四 七
日本語の数の呼び名には二通りがあります。
   大和言葉:ひ・ふ・み・よ・いつ・む・なな・や・ここの・とお
   漢  語:いち・に・さん・し・ご・ろく・しち・はち・く(きゅう)・じゅう
漢語のほうが合理的で便利なので使われますが異端字が二つ紛れ込んでいます。
日本人の耳には「し・しち」および「いち・しち」が紛らわしく聞こえるので先人たちが編み出したのが「し・しち」を使いたくないときには大和言葉の「よ・なな」を用いるという方法です、ただし「よ」には後ろに「ん」が付いた「よん」が定着しました。
わらか・ったり・ごやか・こにこ」のようにヤ行ナ行の音は日本人の心に柔和なイメージを湧かせるものです。
やわらかに柳青める北上の
  岸辺目に見ゆ泣けとごとくに
(石川啄木)
我が家(わ や)
我が家
「わがや」という言葉が醸す何ともいえない温かみはどこから来るのでしょうか?それは「わ」「が」「や」という三つの音の並びに負うところが大きく、三音とも母音が「ア」で滑らかに発音でき相性がよいからです。古語では「わは行く」「わを待つ」という形で使われていましたが「われ」に取って代られ、助詞「が」だけが使われ続け「わが身」「わが国」と言われます。滑らかに発音できのは音の出どころに因ります。
   わ:唇を突き出した状態で口の前の方で
   が:舌を上あごにつけ中ほどで
   や:舌の付け根を動かし奥の方で
【参照】⇒日本語の発音
表と裏(おもて うら)
十円硬貨
    表        裏
十円硬貨の表と裏は造る側が勝手に設定したものですが、この言葉を分解すると異なる風景が見えてきます。表は「顔」で、対義語の「裏」は「胸の奥にある心」の古語「うら」から来ていると言われています。日本人は自然界にあるすべてのものの中に魂を感じていたと言われ、万物有魂・アニミズムという言葉で説明され信仰の温かさを感じます。うらがなしい
うら寂しい

【参照】⇒日本の文化
(まえ)
目
目に関する言葉お挙げると「ま」から始まるものが多いことに気づきます。「まぶた・まゆ・まつげ・まばたく・またたく」などで、当初は「め」と言っていましたが発音しやすい「ま」に変化した結果と考えられており目の方向であることは明らかです。「まえ」の古語「まへ」の「へ」は方向・方面を意味し「山辺(やまべ)」「海辺(うみべ)」と使います。前向きになれ
生きがい
生きがい
万葉時代からある深い意味をもつ言葉で「甲斐」⇒古語「()い」が語源と考えられます。
一般には効果や報酬などの「見返り」を求めて行動しますが、その際の心のありように注目するとチョットした「おまけ」が大きな役割を果たしていることに気づきます。小さな「手応え」から大きな喜びや充実感を得ています。
ありがとう」⇒やってよかった明日も頑張るぞ
ボタンの掛け違い
ボタンの掛け違い
比喩が巧みな慣用句・諺に「のれんに腕押し」「焼け石に水」などがありますが、外国語には見つからないので日本で生まれた言い回しでしょう。小さな心のすれ違いは誰でも経験し、そのせいで次のいさかいが生じ、修復困難になる成り行きも理解できます。この言葉に感心する要素は争いの一方を悪者にせず、どちらにも非は無いのに関係が破綻するという言葉で説明し、事態を受け入れることができます。ボタンの掛け違いは早めに気づく
ボタンの掛け違い
いただきます
いただきます
「食べる」の謙譲語ですが、もともとは「物を頭上に上げる」という意味です。昔は高貴な人・目上の人への感謝と畏敬の念を表す言葉だったのです。「ごちそうさま」も客のために「駆走」して準備し、客は感謝する意味
ごちそうさま
行ってきます
行ってらっしゃい
行ってきます
「行く」の会話でありながら「戻る」も含まれており、ともに敬語を含む優しくで温かい穏やかな言葉です。「ただいま」「お帰りなさい」も同様です。
画像の説明
すみません
ごめんなさい
すみません
「申しわけありません」「すみません」「ごめんなさい」ともに謝罪の言葉で、申しわけありません⇒言い訳けができません、すみません⇒相手に対し借りがあるとき、ごめんなさい(御免なさい)⇒役目・義務・制限・罰などを解放し相手の罪や弁償を免じるときに使います。「すみません」は何時でも使える便利な反面で心からの謝罪という雰囲気は生まれませんが「ごめんなさい」は和解を請う反省の気持ちが前面に出る表現です。「ごめんなさい」は謝罪だけでなく仲良く素直な気持ちがよく伝わります。
すみませんごめんなさい
   すみません     ごめんなさい
(おおやけ)
画像の説明
英語の「public(パブリック)(公共の・国家の)」や対義語の「private(プライベート)(個人の・私有の)」は大和言葉では「おおやけの」と「わたくしの」が定着しています。「おおやけ」の元の意味は朝廷で、武士の時代になり中央官庁を指すようになりました。
「おお⇒大きい」「やけ⇒宅」で「大きな家」が本来の語源で、日本国民全体が一つの大きな家に住んでいるイメージです。
公
生きがい
生きがい
万葉時代からある深い意味を持つ言葉『「甲斐⇒古語:()(い)」』で、代償として効果・報酬を期待するのが普通の使い方です。
しかし先祖は人間心理の「手応え」を生きる根源的営みに気づきました。
努力のかいがある
やりがいのある仕事
明日も頑張るぞ
頑張るぞ